あしたの星を待っている


「なんか、瀬戸高の男子って変わったね」

「うん」

「前はもっと体育会系まっしぐらって感じだったのにね」


後片付けの途中、七海がそんなことを呟いた。

試合が終わりほどんどの生徒が出て行った体育館は、がらんとしていて、どことなく寂しい感じがする。

それもそのはず、いつもは半々で片付けをする男子が事情聴取で体育教官室に呼ばれているからだ。

誰とはなしに溜息が零れ、モップをかけていた私も息を漏らした。


「3年の先輩が引退して秩序が乱れたのかな」

「あの子、1年だったよね」

「見たことないから多分そう」

「また大変なのが入部したってわけだ」


瀬戸高とうちの高校は私たちが入部するずっと前から親交があり、合宿やシーズンオフには練習試合をよくするから部員の顔もお互いそこそこ知っている。

前年のキャプテンは厳格な人で、キャプテン以外の3年生も怖い人が多かったからガッチガチの縦社会で、うちの部員たちも怯えるくらいだった。

そんな3年生が引退でごぞっと抜けたあと、残ったのはたった2人で、あとは新入部員の5人だと聞いていた。

先輩の方が後輩より人数少ないってやりにくいだろうなぁ。

うちはまだ3年の先輩たちが引退してないから助かってる部分も多いけど、いなくなったら責任重大。

まずは、これしきのことで熱を出さないようにしなきゃ……。


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