あしたの星を待っている


「あ、しまった! スクイズボトル洗うの忘れてた」

「私、行ってくるよ」

「でも、花菜しんどいでしょ?」

「解熱剤を飲もうと思ってたところだから、ついでついで」


この片付けが終わると、合宿のお疲れ会がある。

今年はなんとバーベキュー!

できればそこまで参加したいし、薬さえ飲めばいつも通り動ける。

なので、やっぱりこれは風邪じゃなくて知恵熱の類だなと自己診断し、スクイズボトルが入った籠を揺らしながら給湯室を目指す。

そういや、うちは元からいないけど、瀬戸高のマネージャーはどうしたんだろう?

確か私たちと同じ学年の女の子がいたはずなのになぁーと、そんなことを考えながら渡り廊下に差し掛かったとき。

冷水器の陰に、瀬戸高の例の1年生が居るのを見つけた。

こんなところで何をしているのだろう?


「まさか……、こんな……、」

「……ない、……を……」


誰かと話している?

けれど、その内容は風に攫われてよく聞こえない。

もう少し近づいたら聞こえるかな? いやいや盗み聞きは良くないでしょう。

でも、ちょっとだけなら……!

好奇心には勝てず、周りを確認してから給湯器の反対側へと身を滑らす。

その結果、さっきは途切れ途切れだった声がはっきり聞こえた。
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