あしたの星を待っている
「あーあ、俺も西高受ければよかったなあ」
「お前が来なくてほっとしてるよ」
あれ、この声。
「またまたぁ。本当は嬉しいくせに」
「よせよ」
「つれねぇーこと言わないで昔のよしみで遊んでよ。吉野も寂しがってるよ」
「あいつとは、もう別れた」
「知ってる。おかげでマネ辞めたんだって。せめて俺が入部するまで待っててくれたらよかったのに」
待って、どういうこと?
マネを辞めたって、あの瀬戸高のマネージャーだった子のこと?
「俺には関係ないことだ」
「相変わらず、別れたあとは冷たいもんだね。もう新しい女、見つけたの?」
「お前それ誰から聞いた?」
「誰ってあんな堂々としてて気づかないわけないでしょー。あんたにしては真面目そうな子だね」
「手を出すなよ」
「出さない出さない。ていうか、先に手を出したのは、あ ん た の 方 だけどね」
頭の中がぐるぐる回る。
私は今、何を聞いてしまったのだろう?
今の、何だったんだろう。
じゃぁ、と話を終えて足早に去っていくその背中は紛れもなく「彼」で、これはきっと熱のせいで悪い夢を見てしまったんだ。
そう思いたかった。
思いたかったです、葉山先輩。