あしたの星を待っている
*
「ん、」
あれ、私……。
どこで今、何をしているところだったっけ?
「お、気が付いたか?」
頭がだるい。
瞬きをしても視界がぼんやりしたままだ。
けれど、ゆっくり覚醒していき、やがて完全にクリアになったとき、上からこちらを覗き込んでいる顔があることに気付いた。
「あ、の!」
「急に起きない方がいいよ。ここは保健室。僕のこと分かる?」
「はい、後藤先生」
「そう。君は冷水器の近くで倒れていたんだ。発熱と軽い脱水症状、熱中症だね」
そっか、私、あそこで……。
それとなく自分のおでこに手を当ててみると、冷却材らしきものが貼られている。
服はジャージのまま。
持っていたはずのスクイズボトルは目の届くところにはなくて、どれくらい時間が経ったのだろうかと辺りをキョロキョロすると、「昼の2時だよ」と後藤先生が教えてくれた。
「2時ってことは、」
「バーベキューもお開きの頃だな」
「あぁ……」
「そんな君に朗報だ。さっき部員たちがお裾分けだと言って持ってきてくれた」
そう先生が指さした先には、紙皿に盛られたお肉があった。
串刺しの玉ねぎも添えられている。
「食べれそうなら食べていいぞ」
「いや、でもあれは先生の分…」
「遠慮しなくていい。けど、食べたら帰るんだ。その様子だと朝から熱があったんだろ」
「……はい」
「まぁ無理したい気持ちも分かるけど、倒れたら元も子もないからな」