あしたの星を待っている





「ん、」


あれ、私……。

どこで今、何をしているところだったっけ?


「お、気が付いたか?」


頭がだるい。

瞬きをしても視界がぼんやりしたままだ。

けれど、ゆっくり覚醒していき、やがて完全にクリアになったとき、上からこちらを覗き込んでいる顔があることに気付いた。


「あ、の!」

「急に起きない方がいいよ。ここは保健室。僕のこと分かる?」

「はい、後藤先生」

「そう。君は冷水器の近くで倒れていたんだ。発熱と軽い脱水症状、熱中症だね」


そっか、私、あそこで……。

それとなく自分のおでこに手を当ててみると、冷却材らしきものが貼られている。

服はジャージのまま。

持っていたはずのスクイズボトルは目の届くところにはなくて、どれくらい時間が経ったのだろうかと辺りをキョロキョロすると、「昼の2時だよ」と後藤先生が教えてくれた。


「2時ってことは、」

「バーベキューもお開きの頃だな」

「あぁ……」

「そんな君に朗報だ。さっき部員たちがお裾分けだと言って持ってきてくれた」


そう先生が指さした先には、紙皿に盛られたお肉があった。

串刺しの玉ねぎも添えられている。


「食べれそうなら食べていいぞ」

「いや、でもあれは先生の分…」

「遠慮しなくていい。けど、食べたら帰るんだ。その様子だと朝から熱があったんだろ」

「……はい」

「まぁ無理したい気持ちも分かるけど、倒れたら元も子もないからな」




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