あしたの星を待っている
本当は偽りばかりのSNSなんて馬鹿馬鹿しいと思っているし、見栄えや世間体ばかりを気にするお母さんなんて全然素敵じゃない。
だけど、お母さんが私のことをすごく心配していることは分かっているし、見栄を張ることで脆い自分を隠していることを知っている。
そう、お母さんはとても弱い人だ。
だから私は”良い子”でいなくては、ならないんだ。
*
「ナイッシュー! もう1本!」
ホイッスルの後に、キュ、キュ、とシューズの音が鳴る。
歓声を味方につけ躍動する姿は自由自在に相手を翻弄し、綺麗なシュートフォームから3ポイント。飛び散る汗、くしゃくしゃの笑顔でハイタッチ。
当然、応援する私たちにも熱が入る。
「葉山先輩、今日絶好調じゃない? 張り切ってるね~」
「そうだね」
「何~、もっと嬉しそうにしたら? 花菜のために頑張っているんだから」
「ちょっと! また七海は~、声が大きいってば」
「いいじゃん、どうせあと数時間後にはみんなの噂になるんだし。決めたんでしょ?」
「……うん」
確かに今日の葉山先輩はいつも以上に活躍していて、かっこいい。
それが、自分の為だと言われると恥ずかしいやら照れくさいやら、だけどやっぱり嬉しさもあって、ピースサインをこちらに送る先輩に胸がときめいた。
「大丈夫だって、先輩なら」
「そうだね」
「花菜~顔引きつってるよ? スマイルスマイル」
「なんか緊張してきた」
「も~う、可愛いやつだな。心配ないって! バシッと先輩の胸に呼び込んできな。バシッと、バシッとね。うふふ」
「七海ってば、絶対面白がってるでしょ……」