あしたの星を待っている


ちょっと調子乗っちゃったんだと思う。

最近、また少し瑠偉くんと話せるようになって、嬉しかったんだよ。きっと。

もしかしたら、また昔みたいに、って期待しちゃったんだよ。だから――。


「さっきから何言ってんのかさっぱり分かんないけど、お前と話すのが嫌とか、そんなの思ったことねぇよ」

「え?」

「つーか、逆。お前が俺のこと嫌がってると思ってた」


雨は、すっかり上がっていた。

窓の外の世界は水滴でキラキラ光り、優しく鳴き始めた鳥の声は、曇天が去ったことを教えてくれているようだった。






「変じゃないかな?」

「何言ってるの、可愛いわ。でも、帯がちょっと合ってないわね。もう1本あるから、結び直そうかな」

「お母さん、これでいいよ」

「だけど、どうせ着るなら、」

「いいの。完璧じゃなくてもいいんだよ」


珍しく私が意見したからか、お母さんは不服そうにしながらも頷いた。


「それより、花菜にデートをする相手がいたなんて知らなかったわ。どんな人なの?」

「良い人だよ」


お母さん、きっとすごく気に入ると思う。

そう言うと、今度、連れて来なさいね、と帯を叩かれた。

お陰で、うぇっと吐きそうになる。

思ってたより、苦しいなぁ。

やっぱり普通の服にした方が良かったかな。


「あ、電話鳴ってる」

「誰かしら? 出るから行きなさい。あんまり遅くならないようにね」

「分かってる、行ってきます」




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