あしたの星を待っている
ちょっと調子乗っちゃったんだと思う。
最近、また少し瑠偉くんと話せるようになって、嬉しかったんだよ。きっと。
もしかしたら、また昔みたいに、って期待しちゃったんだよ。だから――。
「さっきから何言ってんのかさっぱり分かんないけど、お前と話すのが嫌とか、そんなの思ったことねぇよ」
「え?」
「つーか、逆。お前が俺のこと嫌がってると思ってた」
雨は、すっかり上がっていた。
窓の外の世界は水滴でキラキラ光り、優しく鳴き始めた鳥の声は、曇天が去ったことを教えてくれているようだった。
*
「変じゃないかな?」
「何言ってるの、可愛いわ。でも、帯がちょっと合ってないわね。もう1本あるから、結び直そうかな」
「お母さん、これでいいよ」
「だけど、どうせ着るなら、」
「いいの。完璧じゃなくてもいいんだよ」
珍しく私が意見したからか、お母さんは不服そうにしながらも頷いた。
「それより、花菜にデートをする相手がいたなんて知らなかったわ。どんな人なの?」
「良い人だよ」
お母さん、きっとすごく気に入ると思う。
そう言うと、今度、連れて来なさいね、と帯を叩かれた。
お陰で、うぇっと吐きそうになる。
思ってたより、苦しいなぁ。
やっぱり普通の服にした方が良かったかな。
「あ、電話鳴ってる」
「誰かしら? 出るから行きなさい。あんまり遅くならないようにね」
「分かってる、行ってきます」