あしたの星を待っている
でも、覚悟を決めた。
本当はまだ少し怖いけど、七海の言う通りいつまでも過去のトラウマを引きずっていたら変われない。お母さんの理想の娘になるためにも、頑張らないと。
先輩なら、きっと大丈夫――――。
「先輩!」
試合が終わり解散となったところで、葉山先輩を呼び止めた。
体育館脇の人気のない場所に移動する。
「夕里さん、応援ありがとう」
「いえ……。あの、昨日の返事なんですけど、私で良かったらお願いします」
「えっ、」
「え?」
「まじでいいの!?」
「あの、はい」
「やっったぁ! 本当に本当? やっぱり無しとか言わないでね。あー、今日すっごく頑張って良かったー。けど、疲れたー」
顔をくしゃくしゃにして笑った先輩は、そのまま地面に座り込んでしまった。
キラキラと光る汗をタオルで吹きながら、何度も「やった」と小さくガッツポーズをしている。
なんていうか、とっても可愛い。
先輩ってこんなに可愛い人だったっけ?
「あの、私、男の人と付き合うのって初めてで、どうしていいか分かんないですし、迷惑かけちゃうかもしれないけど、」
そこまで言いかけて、手を掴まれた。
私の手よりずっとずっと大きい先輩の手に、ドキッとして思わず払いのけてしまった。
「あ、すみませんっ」
「いや、俺の方こそごめん。急にびっくりしたよね。夕里さんのことずっと見てたから何となく分かるよ、男が苦手なんでしょ」
「実は……そうなんです」
「そっか、それでも俺と付き合おうと思ってくれたんだ。ありがとう」
「先輩」
「嫌なことはしないから安心して。夕里さんを大事にする」