あしたの星を待っている
05.踏み出す勇気と、交差する想い
暑い……苦しい……。
はぁ……はぁ……息がもたない。
叫びたいのに声がでない。
どれくらい経っただろう? もう大丈夫かな。でもまだ隠れていなきゃ、見つかったら追いかけられる。
相手は4人? 5人?
しつこい人たち、どうして私がこんな目に合わなきゃいけないの。
あ、待って、足音がまた、
「や、めて……!」
あ、れ、
振り絞った声がやっと出たと思ったら、真っ暗な部屋の中にいた。
どうやら夢を見ていたらしい。
握りしめた掛布団がしっとり濡れているほど、汗が酷い。
夢だったと気づきながらもドクドクと音を立てる心臓と乱れた呼吸を整えながら、ベッドから這い出て1階にあるキッチンに向かった。
あの日もこんな風に蒸し暑い日だった。
体育大会の準備で遅くなり、お母さんの言いつけが面倒だった私は、自宅までの道のりをショートカットしようと公園に入った。
夕方以降は、絶対に1人で公園に行くなと言われていたのに。
『ちょっとだけだし、大丈夫だよね』
そんな軽い気持ちで、公園の中でも人気の少ないトイレの方へと。
いつもは本当に人がいなくて、でも街灯が煌々とついているから、それほど怖いと思わないところだったのに、その日は明かりが消えていて、人の話し声が聞こえていた。
姿ははっきり見えないけど、若い男が数人。
屯して煙草を吸っている。
まずいな、って思った時には、
『お、かわいいのが来たじゃん』
囲まれていた。