あしたの星を待っている
真っすぐ真剣な瞳を見て、先輩は誠実な人だと思った。
それをそのまま伝えたら、「あまりハードルをあげないでよ」と、はかんだ笑顔を見せた。
気持良く晴れた青空がよく似合う。
”映える”ってこういうことを言うんじゃないかな、お母さん。
*
「おーい、席つけー。今日の授業は小論文だ。テーマは”希望”。今から配る原稿用紙4枚にきっちり書くんだぞー」
「えー」
お昼休みのあとの授業は怠い。
ただでさえ眠たくなる時間なのに、お経を聞かされている気分になる現国。さらには苦手な小論文ときたら、ボイコットしたい気分になる。
希望なんてものが、たった4枚の原稿用紙に書ききれるか!
4枚どころか1枚もきつい。
つまり、一言で”希望”と言われても、何も浮かばない。
「はぁ……」
「何~幸せな人が溜息なんかついちゃって」
「幸せってなんなのかな」
「惚気なら他でやってよ」
ビシッと頭を叩かれてしまった。
私は至って真面目に聞いたのに、七海は冗談として受け取ったらしい。
それもそのはず。
今朝、駅に着いたら改札のところで葉山先輩が手を振っていた。
先輩は私が利用する駅より2つ手前の駅なのに、わざわざ反対列車に乗って迎えに来てくれたのだ。