あしたの星を待っている


真っすぐ真剣な瞳を見て、先輩は誠実な人だと思った。

それをそのまま伝えたら、「あまりハードルをあげないでよ」と、はかんだ笑顔を見せた。

気持良く晴れた青空がよく似合う。

”映える”ってこういうことを言うんじゃないかな、お母さん。







「おーい、席つけー。今日の授業は小論文だ。テーマは”希望”。今から配る原稿用紙4枚にきっちり書くんだぞー」

「えー」


お昼休みのあとの授業は怠い。

ただでさえ眠たくなる時間なのに、お経を聞かされている気分になる現国。さらには苦手な小論文ときたら、ボイコットしたい気分になる。

希望なんてものが、たった4枚の原稿用紙に書ききれるか!

4枚どころか1枚もきつい。

つまり、一言で”希望”と言われても、何も浮かばない。


「はぁ……」

「何~幸せな人が溜息なんかついちゃって」

「幸せってなんなのかな」

「惚気なら他でやってよ」


ビシッと頭を叩かれてしまった。

私は至って真面目に聞いたのに、七海は冗談として受け取ったらしい。

それもそのはず。

今朝、駅に着いたら改札のところで葉山先輩が手を振っていた。

先輩は私が利用する駅より2つ手前の駅なのに、わざわざ反対列車に乗って迎えに来てくれたのだ。




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