あしたの星を待っている


「悩むときは、甘いものに限る」

「先生のポケットは四次元だって噂があります」

「あはは。いいね、それ」


青空の下、飴玉が歯に当たるカランという音が響く。

せっかくのお天気だから外で話そうと、中庭に誘ってくれたのだ。

でも、きっとそれは異性と閉鎖された場所で2人っきりになるのが、苦痛だという私に配慮してくれたものだろう。

世の中、先生のような男性ばかりだったら良かったのに。


「僕が思うに、君がそこまでモヤモヤしているなら、何もしないという選択肢はすでにないと思う。もちろん、親の気持ちも分かるが、問題は君自身のことだから」

「私自身のこと……」

「君は自分が変わってしまったと言ったが、それは具体的にどんな風に?」

「臆病になりました。いつも誰かを疑っているというか、信じられなくて」

「それは仕方ない。事件に巻き込まれたのに、その概要を知らされず人間不信になったんだ。むしろ、変わらない方が無理がある」

「でも、そのせいで大切な人を誤解してしまいました」


瑠偉くんは変わらずにいてくれたのに。

私が勝手に避けられていると思い込んでしまって、そんな私に彼もまた誤解して、距離ができたんだ。


「それで、その誤解は解けたのかな」

「はい、多分……」

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