あしたの星を待っている


以前のようにとまでは言えないけど、話せるようになったし目も合うようになった。

それに私、瑠偉くんとなら閉鎖された場所で2人っきりなったとしても怖くないと思う。

この前、部屋に来た時も平気だったもん。


「誤解っていうのはね、相手をよく理解しようとしないから生じるものなんだ。でも、それが解けたとき、今度は相手をよりよく知ろうとする。そうやって絆が深まるんだ」

「絆……」

「君がさっき言った”大切な人”には、悩みを相談した?」

「相談っていうか、どうしようって話はしましたけど、」

「けど?」

「何もしなくていいと言われました」

「それは、どうしてだと思う?」


後藤先生の声は穏やかで優しくて。

ぐるぐるに絡まった思考を溶かしてくれるみたいだ。


「これ以上、傷口を広げないようにセーブしてくれたんだと思います」


例の記者に会って話をしたら、まだ思い出していないことも思い出してしまうかもしれない。知らなかった方が幸せだということもあるだろう。

誰かの好奇にさらされて、より傷つくかもしれない。

だから、瑠偉くんは何もしなくていいと言ったんだ。

先生は、うん、と頷いて、


「その思いやりに気付けているなら充分。あとは君がどうしたいか考えればいい」

「私は……」

「ずっとそうやってモヤモヤし続けるのか。それとも過去に立ち向かい、乗り越えたうえで自分自身を取り戻すのか」

「そんなの、」



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