幼なじみとの恋は波乱で。(仮)

「ちょ、奏!」

「あ、桃果。よぉ」

「『よぉ』じゃないよ!

あんたに彼女ができた、

ってほんと⁉︎」

「ん、まぁ」

「え、まじかよ。信じられない」


「信じられない」とか言ってるけど、

そうじゃない。


「信じられない」じゃなくて、本当は、

「信じたくない」だ。


好きな人に、自分以外の彼女ができた。


苦しくて、もどかしい。


「はぁ?酷くね?それ」


私の「信じられない」という言葉に、

怒りを見せる奏。


「だって、奏でしょ?信じられない。

しかも相手はあの柏田先輩でしょ⁉︎」

「ん」


柏田先輩、といえば、

学校1美人と言っても過言ではないくらいで、

先輩後輩同級生関係なく人気がある。


そんな先輩と、奏が……。


ショックだったけど、

それを悟られないように、

“いつも通り” を装う。


「世の中には

不思議なことがいっぱいあるのね…」

「……なんだよ」


私は、会話の流れに合わせて、

納得がいかない、という表情をつくる。


そんな時、

キーンコーンカーンコーン。


チャイムが鳴った。

HRの5分前を知らせるチャイムだ。


「やば、バイバイ!」

「ん」


私のクラスは、奏のクラスの隣の隣だ。


私は急いで奏の教室を出て、

自分の教室へと向かった。
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