幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
「それになんと告ったのは、

相手の方らしいしな」

「うん。

ほんとに信じらんない」

「だよな…」

「しかも柏田先輩だし。

一目惚れらしいし」

「うん…」


私の心の中で、

醜い “嫉妬” が芽を生やした。


その芽は私の心にしっかりと根を張り、

メキメキと育ち始めた。


「あーあー、ほんっと信じらんない」


単なる八つ当たりだ。

それは、わかっている。


けれど。


「……」


あ、晴翔も黙り込んでるよ。


こんな醜いことしたら、そら引くか。


「もう、ほんとやだ」


私が顔をしかめると、


「おい。お前、大丈夫か?」


と、晴翔の顔が私の顔の下にあった。


晴翔が、私の顔を下から覗き込んでいる。

そして、右手を私の左の頰へと伸ばした。


「……大丈夫」

「嘘つけ。

お前、なんかおかしいぞ?」

「嘘じゃないよ。大丈夫。ごめんね?

それじゃあ、そろそろ私、帰るね」


私が作り笑いをしながらそう言って、

バッグを肩にかけながら

教室から出ようとすると。


「おい!やっぱりお前、おかしいぞ?

何か、あったのか?」

「……」


晴翔はそう言いながら、

私の腕をつかんだ。


あぁ、やっぱり、

晴翔には見破られちゃうのか…。


全部、全部。


奏とは違う。


私、奏にもたまに拗ねちゃって、

こんな態度とっちゃうけど、

いつもヘラヘラして、

なんにもわかってくれない。


でも、晴翔はわかってくれた。


やっぱり、奏より晴翔の方が

人間的に魅力的だよね。


奏なんか諦めて、

晴翔のこと好きになった方がいいのかな…?

その方が私、幸せかな…?


奏より、晴翔の方が……。
< 18 / 62 >

この作品をシェア

pagetop