幼なじみとの恋は波乱で。(仮)

スキナヒト

「ねぇ、晴翔」


今日も私と晴翔は、

誰もいなくなった教室で、

2人で話している。


「ん?」

「晴翔ってさぁ、

好きな人とかいんの?」


奏より、晴翔のことを好きになった方が、

幸せなんじゃないか----。


晴翔の優しさを知って、昨日そう思った私。


今まで晴翔と恋バナとか

あんまりしたことなかったから、

晴翔の好きな人なんて知らなくて。


聞いてみようかな、って思って、

今そんな質問を投げかけている。


「え」


私にそんな質問をされて、

目を丸くした晴翔。


「あ、急にごめん」

「ううん。

好きな人は…。まぁ、その…」

「……」


私は晴翔の言葉に耳を傾ける。


「い、いないことは、ないけど…」


手を首の後ろに回し、目をそらして

顔を真っ赤に染めながらそう言った晴翔。


「……そう、なん、だ…」


よくわからない沈黙が

私たちの元に舞い降りてくる。


「あ、俺、今日用事あるからもう帰るな!」

「あ、うん、わかった!」


晴翔はバッグを持って

椅子から立ち上がる。


晴翔は教室の扉のところで

私の方を振り向くと、

「一緒に帰るか?」

と、顔を赤く染めて、伏し目がちに言った。


「…うん!」


私は笑顔で答えると、

バッグを持って、晴翔の元へと向かった。


私たちは肩を並べて家へと向かった。
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