幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
恋空 〜雨〜
【奏 side】
あなたと一番仲の良い異性は誰ですか?----
もしそう誰かに聞かれたなら。
俺のその答えは、「桃果」。
2番目は?
と聞かれたら。
その答えは、「優」。
俺には、 “異性の友達” と言われて、
すぐに名前が浮かぶのは、
桃果と優だ。
いや、本当は----。
「奏〜」
「あ、優」
優とこんな風に名前で呼び合うほど
仲が良くなったのは、
日直をやった日に、放課後の作業で
なんだか意気投合した----。
それがきっかけのはず。
何で意気投合したのかどうかは
覚えていないけれど。
「あのさ、今から言うこと、信じてね?」
「うん」
今から優は何を話し出そうとしているのか。
「私にね、彼氏ができたのっ……」
「え…」
サー、と微かな音を立てて、
雫が地面へと落ちていく。
雫が地面に向かって落ちていく音、
窓に雫がぶつかる音しか聞こえないほど、
周りは静寂に包まれている。
昨日の夜から降り出した雨の、
落ちる雫は増え、風も吹き始めている。
5月末。
梅雨が近づいているのがわかる。
「………奏?」
どうかしたの?
とでもいうように、
優は俺の顔を覗き込む。
「…あ、ごめん、なんかぼーっとしてた。
寝不足なのかも。
彼氏できたんだ!おめでと」
「うん…。本当に、大丈夫?」
「…うん!」
心配そうな顔を見せながら、
優は自分の席へと戻った。
「奏〜」
教室の扉から俺を呼ぶ声。
その声の主は、夕夏だった。
教室にいる生徒全員が扉の方を向き、
夕夏を確認すると、
ざわざわと騒ぎだす。
俺が扉に向かって歩くと、
女子のキャーキャー叫ぶ声。
もう疲れる。
「夕夏。ちょっと来て」
「えっ、ちょっ…」
俺は夕夏の腕をつかんで廊下を歩きだす。
キャー!
女子たちの黄色い声。
うるさいな。
「ヤバイ!」
「柏田先輩羨まし〜」
「あれが噂の」
「三浦くん、大胆〜」
俺はそんな教室から聞こえてくる声を
背中から感じながら、
夕夏と廊下を走る。
あなたと一番仲の良い異性は誰ですか?----
もしそう誰かに聞かれたなら。
俺のその答えは、「桃果」。
2番目は?
と聞かれたら。
その答えは、「優」。
俺には、 “異性の友達” と言われて、
すぐに名前が浮かぶのは、
桃果と優だ。
いや、本当は----。
「奏〜」
「あ、優」
優とこんな風に名前で呼び合うほど
仲が良くなったのは、
日直をやった日に、放課後の作業で
なんだか意気投合した----。
それがきっかけのはず。
何で意気投合したのかどうかは
覚えていないけれど。
「あのさ、今から言うこと、信じてね?」
「うん」
今から優は何を話し出そうとしているのか。
「私にね、彼氏ができたのっ……」
「え…」
サー、と微かな音を立てて、
雫が地面へと落ちていく。
雫が地面に向かって落ちていく音、
窓に雫がぶつかる音しか聞こえないほど、
周りは静寂に包まれている。
昨日の夜から降り出した雨の、
落ちる雫は増え、風も吹き始めている。
5月末。
梅雨が近づいているのがわかる。
「………奏?」
どうかしたの?
とでもいうように、
優は俺の顔を覗き込む。
「…あ、ごめん、なんかぼーっとしてた。
寝不足なのかも。
彼氏できたんだ!おめでと」
「うん…。本当に、大丈夫?」
「…うん!」
心配そうな顔を見せながら、
優は自分の席へと戻った。
「奏〜」
教室の扉から俺を呼ぶ声。
その声の主は、夕夏だった。
教室にいる生徒全員が扉の方を向き、
夕夏を確認すると、
ざわざわと騒ぎだす。
俺が扉に向かって歩くと、
女子のキャーキャー叫ぶ声。
もう疲れる。
「夕夏。ちょっと来て」
「えっ、ちょっ…」
俺は夕夏の腕をつかんで廊下を歩きだす。
キャー!
女子たちの黄色い声。
うるさいな。
「ヤバイ!」
「柏田先輩羨まし〜」
「あれが噂の」
「三浦くん、大胆〜」
俺はそんな教室から聞こえてくる声を
背中から感じながら、
夕夏と廊下を走る。