幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
「おい、奏!」


という誰かの声がして背中を叩かれる。


「った…」


“誰か” なんかじゃない。

誰かなんて、だいたい見当がつく。

こんなことをするのは----


「ちょっ、晴翔、いてぇって」

「お前よ〜、ふざけんなよ!

“あの西野さん” と話しやがって!」

「んぁ? あー、さっきの子?

なんだよ、“あの西野さん” って」

「おまっ、知らねーのか!?」


なんだよ。


そんなにあいつ、有名なのか…?


「西野さん、モデルやってんだよ。

最近ドラマとかも出てるし」

「あー、そういえば、

美人だったような気もする」

「『美人だったような気もする』

なんてもんじゃねーだろ。

あーそうか、お前はあの柏田先輩と

付き合ってんだもんな」


そのこと晴翔に言われると

なんだかむかつく。


「関係ねーだろ」

「まぁ、いいけどよぉ」

「本名なんていうんだ?

西野さん。フルネーム」


フルネームだったら、もしかしたら

聞いたことがあるかもしれない。


「西野 瑠璃(るり)。

聞いたことあるだろ?」


そういえば、昨日テレビに出てた気がする。


『中高生からの絶大な人気を誇るモデル』

だとか言ってたかな?


「うん。聞いたことある」


でも、だからなんだっていうんだよ。


こんなこといったら怒られるから

言わないけど。


「ま、イケメンにはその価値わかんねーか」


なんだよ、ムカつく。


「んじゃ、俺いってくるわ」

「ん」


晴翔と別れた後、教室へと戻った。
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