幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
「私、やっぱり…」


あ、断られるかな。


「やっぱり、三浦くんのこと、

好きっ…」

「……」

「だから、三浦くんと

付き合い…たい、です…」

「あ、その…。

はい、ありがとうございます」

「……。三浦くんは…いい?」

「はい」

「ほんとに?

これ言うの辛いけど、

三浦くんは私のこと、

好きじゃないんでしょ?」

「……」


確かに、好きではない。


けど、いつか、好きになる。


俺は、彼女のことを好きになれる……はず。


「じゃあ無理しなくていいけど…」

「無理は、してないです。

それに、俺があんなこと言ったのに

それでも俺のこと先輩は

好きでいてくれて…。

すごい嬉しかったです!」

「じゃあ、付き合って…くれる…?」


先輩が上目遣い気味で

そう聞いてきた。


「はい!」

「やったー!ありがと!」


先輩は、すごく喜んでいた。


「ねぇ」

「はい」

「まずさ、付き合ってるんだし、

敬語やめない?

先輩とか、気にしなくていいから」

「はい…あ、うん」

「って、なんか偉そうにごめん。

うちは付き合ってもらう側なのに…」


そう先輩は

申し訳なさそうに顔を歪め、

照れたように頭をかいた。


「いや、全然いいけど…」

「そう?ありがと」

「ん」

「やっぱ優しいな、三浦くんは」

「いや…」

「あ、奏って、

呼んでも…いい、か…な…?」

「全然大丈夫!………」

「あ、私まだ名前言ってなかったね。

ごめん。

私の名前は、柏田 夕夏(かしわだ ゆか)。

ゆかは…、

夕方の “夕” に、“夏” って書く」

「ゆか…。おっけ」

「じゃあ、よろしく」

「ん!」


この後は、

メアド交換とかした。

柏田先輩…、夕夏は、

すごく嬉しそうで、

こっちまで幸せになるぐらいだった。



自分が、人を幸せにできた。

それが何より嬉しかった。



俺に、人生で初めて

“カノジョ” ができた----……。
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