幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
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「何?聞かせて?」


今野ちゃんは

車のバックミラー越しに私を見ながら

優しく微笑み、そう言った。


今私は今野ちゃんの車に乗っていて、

次の仕事場へと向かっている途中。


さっき、今野ちゃんに

「相談したいことがある」

と言ったところ。


……それは、三浦のこと。


「私の友達にね、

すっごくかっこいい子がいるの!

それで、その子と私で

twinsの撮影をしたくて…。

その子にはもう言ってあるんだけど…。

どう、かな…?

……だめかな…?」

「んー、いいんじゃない?」


今野ちゃんはいつも通り、

微笑みながらそう言った。


今野ちゃんのその微笑みと言葉が

いつも私に安らぎを与えてくれる。


「編集部の考えもあるから

なんともいえないけど…。

瑠璃のお願いとなったら、

許してくれるんじゃない?」

「そっか……。よかった…。

さっそく、連絡するね!」


私はスマホを取り出し、三浦へメールを送る。



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To : 三浦
Sub : モデルの件について
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今マネージャーに聞いたんだけど、
いいと思う、だって!

三浦とするの、楽しみ〜!
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ティロン。

メールの着信音だ。


三浦からの返信だった。



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From : 三浦
Sub : Re : モデルの件について
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まじか
まぁ、頑張るな
ありがと
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短いメールだった。


けど、それでも嬉しくて。


顔の筋肉が緩んでいくのを感じる。


「瑠璃」

「…ん?」


今野ちゃんの言葉で、ふと我に返る。


「その子、“かっこいい” ってことは、

男の子なのよね?」

「うん…」

「瑠璃、その子のこと、好きでしょ」

「……っ!」


私は思わず目を見開く。


「どうしてわかったの…?」

「何年一緒にいると思ってるの?

それに、メールしてる時

すごく幸せそうだったし」

「今野ちゃん…」


私は小学生に入ってすぐくらいの頃から

こういう仕事をしているから、

もう10年くらいの付き合いだ。


ふとバックミラーを見ると、

今野ちゃんと目があった。


----今野ちゃんは、笑っていた。


いつもこの今野ちゃんの優しさに

助けられる。


「ありがと!」


私は感謝をこめて今野ちゃんにそう言った。
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