幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
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「まぁ、座って」


私と今野ちゃんは編集室の隣にある

会議室へと通された。


会議室は温かい雰囲気で、

私の緊張を和らげた。


「西野さんの友達にかっこいい子がいて、

その子と撮影をしたい…。

そう聞いたけど…、ほんと?」


私の前に座った編集長はそう尋ねた。


「……はい」

「どんな子?写真とか、持ってる?」

「写真…」


写真、か……。


持ってないかも。


というか、持ってない。


「すいません、今は写真持ってないです」

「そっか。

でも、西野さんが “かっこいい” って

思える人なんだよね?」

「はい」


それは、本当にそう。

自信を持って言える。

だって、学年で1番と言っていいぐらいに

モテるし、なんでもできるし…。


全部含めて “かっこいい”。


「そっか…。

西野さんが “かっこいい” って

言うくらいだしなぁ…」

「………」

「実はね」


編集長は、そう徐に切り出す。


視線だけ右に泳がせると、今野ちゃんが

緊張した面持ちで編集長の次の言葉を

待っていた。


「7月号ぐらいだったと思うんだけどね。

『カップル特集』ってのを企画してて…。

西野さんとその子でやるのは、どうかな?」


『カップル特集』…。


……いい、かも。


って!

私たち付き合ってないじゃん!


それなのに…、いいのかな…?


「あの…、私たち、

付き合ってないんですけど…。

ただの “友達” です…」

「あー、そんな心配しなくていいよ。大丈夫」


編集長は優しく微笑んだ。


「はい、ありがとうございます!

それじゃあ、やらせてもらいます!」

「わかった。

それじゃあ、みんなに伝えとくね」

「はいっ……」


(やったー!)


私は、頬を緩ませながら、

心の中でそう叫んだ。
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