幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
「ごめん、待った?」


三浦の声。


「ううん、待って……な、いよ………」


振り向いて、「待ってないよ」。


そう言うつもりだったけど、

ぎこちなくなってしまった。


(三浦、かっこよすぎっ……)


「そっか」

「うん…。三浦、オシャレだね。…服」

「あ、そう?ありがと」

「…っ」


明るく。でも、爽やかに。


強く。でも、優しく。


“天使の笑み” と言えるくらいの

笑顔を私に向けてきた彼。


もうもはや犯罪者の域。


「………そ、それじゃっ、行こっか!」

「ん」


ビルに行くまでの間、

電車の中でも歩く時でも、

三浦が隣りにいることを

意識して仕方がなかった。



「今野ちゃん、この子」

「ほんとにかっこいいね!」

「でしょでしょ!」


ビルの前で待っていてくれた今野ちゃんに、

三浦を紹介する。


そして、三浦にも今野ちゃんを紹介する。


「それじゃあ、行こっか!」

「うん!」


私たちは、今野ちゃんに続いて

ビルの中へと入っていった。



ポーン、という電子音で、

目的地に着いたことが知らされる。


「ここ…、13階には、編集室があるの」

「ふーん」


(三浦、興味なさそうだな…)


そんなこと、最初からわかってたけど、

なぜだか胸が痛くなる。


そのままエレベーターを降りると、

編集長が待っていた。


「……三浦奏くん、だね?こんにちは」

「はい。こんにちは」


一通り挨拶などをすませると、編集長は

「それじゃあ早速」

と言って、エレベーターに乗った。


行く先は、11階。


11階には、スタジオだけではなく、

メイク室や着替える場所などもある。


メイク室などは、エレベーターの前にある。


降りると、いつものスタイリストさんが

私たちを導いてくれた。
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