幼なじみとの恋は波乱で。(仮)
「なぁ」

「……ん?」


突然喋りかけられたせいで、

少し遅れた反応をする。


「桃果、最近元気なくね?」

「え?そっ、そんなことないよ…。

気のせいじゃない?」


バレてる。

やっぱり、晴翔はすぐに気づいてくれる。


でも、今は、それを誤魔化すしかない。


「もしかして、誰かに告った?」

「……え」

「奏とか」

「……」


だめ。


今この状況での沈黙は、肯定。


何か、何か言わなきゃ…。


「……奏?なんで、私が奏に告ったことに…。

それに、告ってたとして、

なんで相手が奏なの…?

さすがに奏はないんじゃ----」

「バレバレだよ」

「……え?」


私がそう聞き返すと、

少し前を歩いていた

晴翔は突然立ち止まった。


推進力で私は少し、晴翔に近づく。


「バレバレって…、何が?」


私はカラカラに乾いた喉から

声を絞り出した。


返ってくる言葉はわかっていた。


けど、自分の予想と違うことを

晴翔が言うのを、

私は心の中のどこかで願っていて。


その思いが、私の声帯をふるわした。
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