私の失恋の行き着く先は…No.1
私は一人暮らしのアパートには帰らず、実家に向かった。
幸いにも両親は旅行中で不在。
玄関に入るなり、ずるずるとしゃがみこんで声をあげて泣いた。
何度も着信を告げる音が鳴り響いていた。
一晩泣くだけ泣いた私の行動は素早かった。
スマホは解約し、引っ越しの手続きをしてアパートを引き払った。
彼との思い出は全て処分した。
徹底して彼との接触を絶った。
それでも職場を知られていることはどうすることも出来ない。
受付と警備の人に、もし私を訪ねてきた人がいたら退職したと伝えてほしいとお願いした。
多忙なはずの彼が会社の前に立っているのを何度か目撃した。
一体なんの用があるというのだろうか。
律儀に別れの挨拶でもしようというのであろうか。
母の運転する車の中で私はシートに身体を深く沈めて、そんなことをぼんやり考えていた。