私の失恋の行き着く先は…No.1
「半年前にヘッドハンティングでここに来た人なんだけど、アメリカ本社に研修に行ってたの。週明けから経営戦略部の部長よ」
凄い人なんだな~、とぼんやり考えていた私は、近づいてくる斎藤部長を見て固まってしまった。
世間は狭いとは、よく言ったものだ。
神様のいたずらなのだろうか。
だとしたら、神様はどこまで私をどん底に貶めるつもりなのだろうか。
『貴俊さん』
彼の名前を呼びそうになった口を、私は固く閉ざした。
私にはもう、そう呼ぶ資格などないのだから。