私の失恋の行き着く先は…No.1
「ゆずきちゃん、大丈夫?もしかして…」
敏感な蓉子さんのことだから、もしかしたらなにか感づいてしまったのかもしれない。
蓉子さんは専務と顔を見合わせて、なにか言っているようだけど、私の耳にはなにも聞こえてこなかった。
ここで泣くような醜態だけは晒したくない。
彼の姿を視界に入れないように俯いた。
私のことは放っておいてほしかった。
初対面のフリをすることくらい、彼には容易いことだと思ったのに、どうして私の名前を呼んだりするの?
「ゆずき、元気だったか?」
どうしてそんなことを訊いたりするの?
しかも、心配しているような声で…。