私の失恋の行き着く先は…No.1
頷くのが精一杯の私。
元気だったかと訊かれれば、多分私は元気だったのだと思う。
失恋して食欲は落ちたものの、両親に心配をかけるわけにもいかず、なんとか食べていた。
それでも痩せたと心配された時は、仕事の疲れのせいにした。
転職や引き継ぎで忙しかったけど、仕事も普通通りこなした。
荒れることも引きこもることもなく、ただなるべく普通通りに過ごしてきた。
だから、元気だったのだと思う。
「ゆずきちゃん、今日はこれであがっていいよ」
確かに時刻は定時を少し過ぎている。
上司である蓉子さんにそう言われると、私は帰る他ない。
「それでは失礼します」
踵を返したところで、腕を掴まれて動けない。