私の失恋の行き着く先は…No.1
真実
これはいわゆる拉致とか誘拐の類いなのではと思ってしまう。
あの後、彼は私の腕を離すことなく、秘書室に行って私のバッグを持ち、会社を出た。
秘書室にいた室長と蓉子さんには「お疲れ様~。また来週~」と、なんとも気の抜けた挨拶をされた。
途中ですれ違った社員たちからチラチラというか、ジロジロというか、まぁなんとも言えない視線を向けられた。
そうして、ものの数分歩いて連れてこられた所は、高級ホテルの上階のフレンチレストラン。
しかも何故か個室。
ガラス張りの窓の外には夜景がキラキラと輝いている。
こんな状況でなければ、迷わずガラスに張りついて「わぁー」っと夜景を楽しんでいたに違いない。