私の失恋の行き着く先は…No.1
「悪い。大きな声出して」
確かにそれにも少し驚いたけど、それより終わってないってどういうこと?
背後にいる彼の表情はわからない。
けれど、私を抱き締める腕の強さは優しい。
「終わってないって、どういうこと?」
「俺はゆずきを好きだし、愛してる」
「えっ、だって、お見合い…」
「見合いなんかしてない」
「う、嘘…」
「嘘じゃない」
彼の声は真剣で力強い。
「そんな、だって、私、ちゃんと聞いたよ?」
「座ろうか」
抱き締めていた腕を離して、私をくるりと回転させてお互い顔を見合わせた。
私を椅子に座らせると、彼は私の目の前に片膝をついて大きな手で頬を包んだ。
まるでおとぎ話に出てくる王子様みたい。