終わりなき戦に花束を
「…着くまでに、私の話でも聞いてもらおうかな」


「え?」

小雪は息をつくと、ゆっくり話しだした。


「私ね、京都で生まれた武家の娘なの。

家柄のせいか、お父さんは剣術にこだわっててね、私は幼いときから教えられてきた。

ずっと、男の子として、強くなれって言われて育ったの。」


「…男の子」


「うん。強くなるのは嬉しかった。…でもその代わりに、女であることを隠さなければいけなかった。それが嫌でしょうがなかったの」


「…だからここに?」


「自分から来たわけじゃないよ?…近藤さんが私の父の知り合いでね。私の事情を知って助けてくれたの。女として生きる望みを叶えてくれた。」


「…近藤さんは、優しいですね。」

「それは翡翠ちゃんもわかってるでしょう?」


「ッ――!」



翡翠は何も言わずただ目を伏せた。

「さ、ついたよ!ここが新しい雑貨屋さん!」

そういい店に入っていく小雪を見ながら翡翠は呟いた。



「…やさし、いよ」 
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