終わりなき戦に花束を
「・・・はぁ・・・」


縁側で翡翠はため息をついていた。

ゆっくりと庭に降りると、空を見上げる。


突然何かが翡翠の鼻に触れた。

「・・・?」


それは桜の花びらだった。


ふと目線を目の前に戻すと、大きな桜の木が目に入る。

「桜・・・」


暖かい風に吹かれ、翡翠のフードが取れた。

薄紅色の長い髪が、風に吹かれながら広がる。


「・・・綺麗・・・」

桜に向かって手を伸ばした。


その時だ。

後ろに人の気配がし、翡翠はばっと振り向く。


「あ・・・」

立っていたのは総悟だった。


目を見開いたまま、翡翠を見ていた。

「!」


翡翠はフードをかぶり直すと、後ずさりする。

総悟は、庭に降りてくると、翡翠に躊躇いもなく近づいた。


「・・・近づかないで」


翡翠がそう言うと、総悟は首を傾げる。

「なんでですかィ?」


「・・・」

翡翠は総悟の質問には答えず、総悟の脇を素早く通り過ぎていった。






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