終わりなき戦に花束を
「(・・・最悪だ)」

近藤さんならともかく、よりにもよって全く知らない男に見られるなんて。
翡翠は心の中で悪態をつきながら屯所の門をくぐり外へ出た。


通りを歩いていると、すれ違う人々全員が翡翠を舐め回すように見る。
気持ち悪い視線だ。
翡翠は下を向いたまま歩き続けた。


『化物!』

『その醜い姿で近づかないで!』


「っ!」

・・・だめだ。思い出すな。

立ち止まり、服の裾を力の限り握りしめる。

空耳に惑わされたらだめだ。
忘れろ。忘れるんだ・・・



『あなたなんか生まれてこなければよかったのに・・・』

「っ違う、忘れろ・・・」


翡翠はふっと息を吐いて、また歩き始めた。
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