花火の夜の甘い蜜
袖口がシワになるほど握りしめながら、深呼吸する。
「鈴本、」
仕事中に呼ばれるのとは全く違う温度と甘さで、彼が私を呼んだ。
耳から、溶かされてしまいそうだ。
「鈴本」
全身が、震えるほど、甘い甘い声。
「好きだ、鈴本」
いつもより少し低くて、色のある声が、2人きりのフロアにいやに響いた。
終わりかけた花火の音が、どんどん遠くなっていく。
目をぎゅっと閉じた。
「鈴本」
愛おしそうに呼ばれる。
耳が熱くて、思わず手で覆う。
「課長、もう…」
やめて、と言おうとして振り向くと、驚いた顔の課長と目が合った。
瞬間、課長の瞳が燃えるように光った。
「そんな顔されたら、期待する」
私は、小さく震え続ける手を課長の手に重ねた。
「ーーーっ」
思ったよりも熱い手。
「私も、すき、です」
声にならないかすかな声で答えると、目の前が真っ暗になった。
ぎゅっと腕の中に閉じ込められながら、「よかった…」とため息混じりの声を聞いた。
END.
「鈴本、」
仕事中に呼ばれるのとは全く違う温度と甘さで、彼が私を呼んだ。
耳から、溶かされてしまいそうだ。
「鈴本」
全身が、震えるほど、甘い甘い声。
「好きだ、鈴本」
いつもより少し低くて、色のある声が、2人きりのフロアにいやに響いた。
終わりかけた花火の音が、どんどん遠くなっていく。
目をぎゅっと閉じた。
「鈴本」
愛おしそうに呼ばれる。
耳が熱くて、思わず手で覆う。
「課長、もう…」
やめて、と言おうとして振り向くと、驚いた顔の課長と目が合った。
瞬間、課長の瞳が燃えるように光った。
「そんな顔されたら、期待する」
私は、小さく震え続ける手を課長の手に重ねた。
「ーーーっ」
思ったよりも熱い手。
「私も、すき、です」
声にならないかすかな声で答えると、目の前が真っ暗になった。
ぎゅっと腕の中に閉じ込められながら、「よかった…」とため息混じりの声を聞いた。
END.