君の肌に口づけを
君の肌に口づけを
太陽がアスファルトを焼いている。
汗で髪の毛が肌にへばりついて気持ち悪いし湿った空気は息苦しい。日焼け止めを塗りたくたって太陽には勝てやしない。
人類は夏に負けているのだ。
夏に勝つには逃げに限る。
クーラーのついた涼しい部屋で寛(くつろ)ぐことは人類が生み出した最高の夏から白星を奪い取る方法だと私は思う。
そして、夏は恋の季節。ひとときの恋人ってやつも含まれる。つまり、好きな人が隣にいるなら、ある意味夏の勝者であると断言する。
つまるところ、私は全てにおいて夏を制するものである。
宿題を進めていると、視線を感じた。
それを辿れば、ベットに横たわりながらバトルモノの漫画を読んでいる彼からで。
ぱちりと目線が合えば、粗雑に質問を投げてきた。
「告白する時、好きです付き合ってください以外に何て言う?」
「いつから好きになった、とか?」
「ふーん」
なんだよ興味ないんかい。
彼は寝返りを打っただけだった。一房、彼の耳にかかっていた髪の毛がゆるりと落ちた。
そんな些細なことでも胸は音を立てる。
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