君の肌に口づけを
「そうだね。意外とロマンチストなのかも。ひざまずくいて手とかにもキスしたいなぁって思うし」
「ふーん」
キスされる自分を想像してしまった私をぶん殴りたい。
「寝転ぶのはいいけど本気で寝ないでね。あんた、全然起きないんだから」
「うん。分かってる分かってる」
生返事。この“分かってる”は分かってない時の“分かってる”だ。
暫くすると、紙を捲る音は聞こえなくなって気持ちよさげな吐息が聞こえてくる。
まだ初恋。恋のやり方なんて分からないし、恋の駆け引きなんてもっと分からない。未知の領域。
私が彼以上に好きになれる人間って存在しているのだろうか。分かんない。昔も今も彼しか見てない。周りが見えてないんだよバカ。
夏は制したって、初恋を制せれない。
間違えたくない。