君の肌に口づけを
“好き”ってなんだよ。ただの破滅ボタンでしかない。いっそのことミサイルくらい打てるようになれよ。
寝ている彼の手から漫画を取る。変なことしか言わない彼も目をつぶれば静かで子どもっぽくて、可愛く見えて。
頬っぺたを触ればスベスベしてるし冷たくて気持ちがいい。
ずっと見ていたいし触っていたい。
「……す、…す、」
寝ているのに聞いていないのに伝えられない。意気地無し。臆病風が吹き止まない。
好き、以外に言えば難癖つけられるんだ。だから、シンプルに2文字。たったそれだけでいいのに。
「す、す、…………す、…」
なんで言えないんだろう。
「…す、……、す、…す、き、…、すき焼きなっちゃえば、いいのに、」
なんでだよ。頑張れ私。しっかりしろ私。落ち着け私。すーはーすーはー深呼吸。
まだ動悸は収まらない。
まず、お茶を飲んで落ち着こう。
いつ伝えられるのかも分からないこの感情は今も胸の中でぐるぐると踊っている。