君の肌に口づけを
お茶を取りに部屋を出た彼女。
ぱちくりと目を開けた彼は頭の中でさっきの彼女を思い出す。
触れられて熱くなった。
心臓が鳴り止まなかった。
なんだろう、この感情。小さい頃から彼女に触れられると可笑しくなる。
けれど、居心地がよくて彼女の近くに居たいし触られたい。
恋?まさかまさか。
けれど、
「すき焼きになれば、好きになってもらえるのか…」
ポツリ呟いた彼の言葉は、冷たい空気にゆっくりと溶けて消えていった。