愛は、つらぬく主義につき。
 泣き腫らした目で、紗江が取って来てくれたホットのカフェラテに口を付ける。
 温かい甘苦さが広がって気持ちもどことなく落ち着いた。気がした。

「ねぇ宮子」

 紗江がカップを戻して真剣な表情で言う。

「遊佐クンと駆け落ちしなよ」

 あたしは静かに首を横に振る。

「・・・・・・家をね、捨ててもって思ったコトはあるんだ。でもね」

 ラテの泡をぼんやり見つめて。

「遊佐は絶対にそれは赦さないから」

「・・・そっか」

「うん・・・」

「結婚式で略奪っていうのも、遊佐クンには難しいもんねぇ・・・・・・」

 テレビドラマの見過ぎだよ、ってちょっと苦笑い。でも紗江は真面目に考え込んでた。
 それから本気の心配顔で訴えてくる。 

「・・・考え直しなよ宮子。あたしからも遊佐クンに話すから。こんな結婚、ぜったいにおかしい。宮子をお兄さんに譲るくらい好きなら、他にもっと違うやり方探せるよ・・・!」

 あたしは答えられなかった。

 遊佐はもうきっとあたしのコトは・・・・・・・・・。
 最後の最後であたしが抉った傷口。赦してくれるハズがないから・・・。
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