愛は、つらぬく主義につき。
表門は、警察もウチも厳戒態勢だろうから通り過ぎて裏門に。分厚い鉄製の盾みたいな門の前で停車し、ライトをスモールに切り替える。

すると脇の小さい通用門から一人現れて、運転席側に近付いてきた。ウィンドゥを下げると、哲っちゃんの部下?の葛西さんだった。

「お疲れさまです宮子お嬢」

礼儀正しく、両手を脇に揃えて頭を下げられる。お葬式みたいな黒のスーツで髪もオールバック。たしかまだ三十半ばだった気がするけど、老けて見えるなんて言えないよね。

「こんばんは葛西さん。もしかしていっぱい?入れない?」

リアルタイムで監視カメラにチェックされてるから、いつもなら自動で扉が開くのを待つだけ。なのにわざわざ葛西さんが出て来たのは。

「いえ、ちょっと車が多いもんで入れづらくなってまして。自分が入れときますんで鍵をお預かりします」

「分かりました、じゃあよろしくお願いします」

笑顔で返して荷物を持ち、車を降りる。

「いま案内させますんで」

「ありがと」

無線のインカムで葛西さんが呼び出した、知らない顔のお兄さんの後に続き、ずらっと並ぶ黒塗りの高級車の脇を歩いた。

あちこちライトアップされて、総会より気合入ってんじゃないのコレ。きっとメイン会場は大盛り上がりだろうなぁ。内心で苦笑い。

さてと。それじゃあたしも気ぃ引き締めて、行きますか!


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