愛は、つらぬく主義につき。
10-2
『あー、ご列席の方々には。遊佐真に若頭代理補佐として、今後とも木崎仁と共にこの一ツ橋を盛り立ててもらうこととご承知願いたい。本日この良き日にめでたく孫娘、宮子との婚約披露が叶い、感謝申し上げる』

 仁兄とあたしの結婚をはるか宇宙の彼方に置き去りにして。問答無用で『白を黒』って言い切った、おじいちゃんの挨拶で締め括られた式。
 誰か一人ぐらいツッコミ入れる強者がいるだろうって思ったのに、そこは首領(ドン)の威光って言うべきか、我が身可愛さって言うべきか・・・・・・。






 式場を引き上げ、予定通り大改装した本家の離れでは、来賓客全員をもてなした祝賀会が行われた。もちろん『あたしと遊佐の婚約祝い』って体で。

 今回はその場でお寿司を握ったり、天ぷらや串揚げを揚げたりと、まるでイベント会場と化してる。まあ愉しんでもらえてるなら何よりだけど。

 祝賀会が始まる前。あたしと遊佐は母屋の一室に呼ばれた。
 お父さん、おじいちゃんおばあちゃんに、哲っちゃんがずらりと並んで座って。
 口を開いたのはおばあちゃんだった。

「・・・宮子。貴女の気持ちにもう間違いはありませんね?」

 真っ直ぐに問われてはっきり答える。

「はい。誓ったとおり・・・あたしは何があっても遊佐と生きていきます」

「真さんも変わらないと?」

「はい。・・・色々とご心配をおかけして申し訳ありませんでした。若輩者ですが、宮子と助け合って生涯、一ツ橋の為に尽くさせてもらいます」

 遊佐はやけに男らしい顔付きで。きっぱりと言った。
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