愛は、つらぬく主義につき。
「宮子お嬢さん」

 披露宴よろしく金屏風の前で、白いクロスのテーブル席に座らされてるあたし達の前に、礼装の相澤さんが淡い笑みを浮かべて立った。

「ご婚約おめでとうございます」

「ありがとうございます・・・! あの、織江さんには心配かけまくっちゃって、ほんとにすみません・・・っっ」

 立ちあがり、頭を下げて平謝りのあたし。

「・・・いえ。何よりの吉報ですから織江も慶んでましたよ。近い内にぜひ、若と顔を見せに来てやってくれませんか」

「必ず伺います」

 遊佐が代わりに力強く即答した。

 うっとり、去って行った後ろ姿を見つめてると。

「・・・オマエ、ほんとに相澤代理がスキだよな」

 深々と溜め息を吐かれる。

「えーだって、あんなカッコイイ人、哲っちゃん以来なんだもん~」

「ハイハイ。どーせオレはお子チャマですよ」

「なぁに? もしかしてヤキモチ?」

 ふざけんなって一瞥に。
 両手を伸ばして遊佐の顔を掴まえ、キス。

「あたしの世界一は遊佐に決まってんでしょ」

 余裕の笑みを浮かべて見せたら。
 そーかよって言いながら、逆に遊佐に掴まえられる。
 テーブルの下で指を絡め、人目もはばからず、目を合わせてはキスを繋げ合って。

「・・・お前らいい加減にしろ」

 気が付いたら。暗黒オーラ全開で、ものすごい冷気を放ちながら、でっかい男があたし達を睨み下ろしてた・・・・・・。


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