愛は、つらぬく主義につき。
遊佐は今日、何かしたいコトあるかな。季節も好いし、街中で買い物は無理でも、公園でも山でも海でも。広くて人がまばらで車椅子が通れるトコなら、あたしの車で二人だけでも行ける。

面倒臭がってテレビ観てゴロゴロしてるだけだって、あんたのカオ眺めてても見飽きないしね。背中に唇を押し当てて口付けた。

それから遊佐を残しベッドから抜け出る。奥のバスルームで先にシャワー浴びて、朝ゴハンでも用意しとこうかな。

遊佐の為に改装された離れのような造りのこの部屋には、車椅子でも楽に出入りできる広い洗面室、トイレ、大きなバスルームにミニキッチンまで付いてる。

まあキッチンは最低限、お湯を沸かすのに使うぐらいの一口コンロと、小っちゃな流し台、あとは電子レンジとミニ冷蔵庫だけだから。基本、ご飯は向こうのリビングで。
 
頭からお湯を浴びバスチェアに座って髪を洗ってると。いきなりガシャン、とドアの開く音がして心臓が飛び上がった。

「遊佐?!」

泡で目が開けられなくてこっちは余計に焦る。

「んー、オレも入るー」

声だけ聴いてると、あんたまだ全然眠そーなんだけど?

バスタブに自動でお湯を張る音声が流れたから、遊佐がスイッチ入れたんだろう。吹き出る飛沫の水音。急いでシャンプーを洗い流す。振り向いたらバスタブの縁に腰掛けた遊佐が大欠伸してた。
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