愛は、つらぬく主義につき。
8-1
『宮子? 久しぶりー元気?』
耳許に聴こえる紗江の朗らかな声。
「・・・うん元気。ゴメン、忙しくなかった?」
しばらくぶりだったし、声も聴きたくなって電話を掛けてみた。いちおう先にラインで、大丈夫かを確認してからなんだけど。
『ちょうどダンナが子供とお風呂入ってるし、大丈夫!』
「そっか」
『それより電話なんて、もしかしてイイ話?』
案外そういうトコ、紗江は鋭い。向こう側から期待されてる感が漂ってきて。
長電話も出来ないだろうから、もったいぶらずに切り出した。
「・・・あたしさ、結婚すんの」
『やっぱり、とうとう?! おめでと~っ宮子ぉ! やっと遊佐クンがその気になったの?! いつ?、絶対行くから!』
「式はね八月二十九日」
『来月?! ずい分急じゃない! ・・・え、もしかしてデキちゃった?』
「デキてない、デキてない」
あたしは苦笑い。
「気が変わらない内に、空いてるトコどこでもいいって思ってさ」
すると紗江が声を立てて笑う。
『気が変わらない内って、遊佐クンの? 宮子らしいね』
「違うよ、あたしの」
『宮子の? なんで?』
きょとんとして返った。
「相手は仁兄だから」
『はぁっ?!』
一気に険のある高いトーンに跳ね上がった。
『何それ?! どういうこと、宮子!! ちゃんと説明しなさいよっっ』
噛みつくように声を荒らげた紗江に、あたしは言葉を詰まらせる。
黙り込んだのをどう受け止めたのか、苛ついた様子で早口にまくし立てる彼女。
『あーもうっ、何でそんなことになってんのよ?! 明日そっち行くから、一から全部話して!』
あたしの言い分を一切聞かずに、時間と待ち合わせ場所を一方的に突き付けて、通話は切られたのだった。
耳許に聴こえる紗江の朗らかな声。
「・・・うん元気。ゴメン、忙しくなかった?」
しばらくぶりだったし、声も聴きたくなって電話を掛けてみた。いちおう先にラインで、大丈夫かを確認してからなんだけど。
『ちょうどダンナが子供とお風呂入ってるし、大丈夫!』
「そっか」
『それより電話なんて、もしかしてイイ話?』
案外そういうトコ、紗江は鋭い。向こう側から期待されてる感が漂ってきて。
長電話も出来ないだろうから、もったいぶらずに切り出した。
「・・・あたしさ、結婚すんの」
『やっぱり、とうとう?! おめでと~っ宮子ぉ! やっと遊佐クンがその気になったの?! いつ?、絶対行くから!』
「式はね八月二十九日」
『来月?! ずい分急じゃない! ・・・え、もしかしてデキちゃった?』
「デキてない、デキてない」
あたしは苦笑い。
「気が変わらない内に、空いてるトコどこでもいいって思ってさ」
すると紗江が声を立てて笑う。
『気が変わらない内って、遊佐クンの? 宮子らしいね』
「違うよ、あたしの」
『宮子の? なんで?』
きょとんとして返った。
「相手は仁兄だから」
『はぁっ?!』
一気に険のある高いトーンに跳ね上がった。
『何それ?! どういうこと、宮子!! ちゃんと説明しなさいよっっ』
噛みつくように声を荒らげた紗江に、あたしは言葉を詰まらせる。
黙り込んだのをどう受け止めたのか、苛ついた様子で早口にまくし立てる彼女。
『あーもうっ、何でそんなことになってんのよ?! 明日そっち行くから、一から全部話して!』
あたしの言い分を一切聞かずに、時間と待ち合わせ場所を一方的に突き付けて、通話は切られたのだった。