毒舌社長は甘い秘密を隠す

「連休の間はどうされるんですか?」
「その間は好きにしたらいい。とにかく俺がいる時は、俺の自宅で過ごす。これが条件だ」

 となると、なにも今日から暮らさなくたっていい気がする。
 行ったり来たりするのも面倒だし、連休の間は自宅で寝起きするつもりだ。


「社長。いつまで私を住まわせる予定ですか?」
「決めてない」
「では、始まりも連休明けからでも問題ないですよね?」
「…………」

 私が意見すると、彼は怪訝そうに眉をひそめた。
 きっと近しい社員で意見するのは、私くらいだろう。もちろん仕事となれば、他の役職者と意見を交換することはあるけれど、私がこんなにハッキリ言いたいことを言うタイプだとは、きっと彼も誤算だったはずだ。


「それは、条件を飲むということでいいんだな?」
「はい。社長秘書として働けるのでしたら」

 それに、プライベートの彼をもっと知りたい。
 意外なことばかりだけど、そのたびにドキッとさせられたり、かわいいと感じたり……。

 こんなに夢中になれる人と毎日過ごせるなんて、きっと楽しいはずだ。

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