毒舌社長は甘い秘密を隠す
君を離さない
週が明けたら、いつもの忙しい毎日が始まった。
デート翌日の日曜は、社長は書斎にこもる時間が多くてあまり話せなかった。
彼の心に少しでもいいから踏み込みたかったけど、仕事の邪魔はできなくて、次の機会を待つことにした。
だけど、なかなかチャンスは訪れないものだ。
平日の夜は落ち着いて話すことも叶わず、金曜の朝を迎えている。
今日は彼が自宅に置いたままにしていたアルパカのペンを持ち出し、社長室の清掃をした時に、こっそりデスクのペンスタンドに混ぜておいた。
「アルパくん、おはよう」
「フーン」
来客スペースの掃除が行き届いているか確認するついでに、アルパくんたちの様子も見る。
今日も元気なようで、飼育員さんが与えてくれた餌をもぐもぐと食べていた。
「最近、社長がこなくて寂しい? ごめんね」
「フフーン」
でも、ここで眠られるのは本当に困る。私がアルパくんたちの代わりになっているとも思えないけれど。
一頭ずつ撫でていたら、壁の時計が九時半を過ぎていることに気づいた。