毒舌社長は甘い秘密を隠す

 十五時になり、九条さんが来社したと総合受付から連絡が入った。
 連休以来会っていなかったけれど、社長室フロアにやってきた彼は変わらずに素敵な雰囲気を纏っている。


「今夜はお時間大丈夫ですか?」

 応接室へ向かう間、九条さんが問いかけてきて振り向く。


「はい。よろしくお願いいたします」
「よかった。では、その件は後ほどご連絡いたしますね」
「かしこまりました。井浦が参りますので、少々お待ちください」

 一礼してドアを閉め、ふっと息をつく。
 九条さんといると、背筋がぴんとする。心地いい緊張感を保ちながら、お茶の支度をした。


 三回ノックして、再び応接室へ。
 すでに社長が来ていて、話が始まっているようだ。

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