毒舌社長は甘い秘密を隠す
男から見ても、彼は格好いい男だと思う。
スタイルも顔もいいし、頭だって切れる。性格はちょっと身勝手なところもあるけど、社長ともなればそれくらいの我の強さは必要なのかもしれない。
それに、彼には恩がある。
他の部署で勤務していた俺を見込んで、副社長の職に就かせてくれたのは他でもない彼だからだ。
彼のやり方に異論はない。
意見がぶつかることはあるけれど、最終的に正しい選択をしてくれる絶対的な信頼も寄せている。
そんな彼が、なぜ営業部の秘書経験のない社員に目を付けたのか、気になって仕方なかった。
――だけど、社長秘書として沢村さんを迎えた初日、すぐにピンと来た。
彼女を見つめる瞳は鋭く、仕事に厳しい社長そのものだったけれど、話した後はかなり機嫌がいいのだ。