毒舌社長は甘い秘密を隠す
俯いて、吹きだしてしまいそうになる口元を手のひらで抑えたら、勢いよく顎先が持ち上がった。
長くて綺麗な社長の指先が、私の顎先に掛けられている。
強引に熱を帯びた眼差しに晒されたら、必然的にドキドキしてきた。
「……俺の弱みを握ったとでも言いたいのか?」
「ち、違います」
どうやら彼の気に障ってしまったようだ。
考えてみれば、昨夜アルパくんと添い寝していた理由もはぐらかされたままだった。
彼にとっては触れられたくないことだったのかもしれない。
「気に食わないな」
だけど、目の前の強気な彼は、額に冷却シートを貼り、もふもふとしたネイビーの部屋着姿だ。
しかも、今夜は私に助けを求めてくるほど弱っているのに、ムッとして膨れている。
……社長って、かわいい人かも。
「失礼いたしました」
彼のギャップにきゅんとした胸の奥を隠して謝り、なんとか許してもらった。