毒舌社長は甘い秘密を隠す
再び、恋をしました
「おはようございます」
「あぁ」
翌日、出社してきた井浦社長を社長室で出迎え、挨拶をした。
いつもと変わらぬ明るさの私に、彼も愛想のない反応を返す。
「社長、お加減はいかがですか?」
「いつもと変わらない」
「それはよかったです」
壁に作り付けたクローゼットにトレンチコートとジャケットをしまう、彼の背中に話しかけた。
「沢村さん」
「はい」
社長は風格のあるデスクチェアに腰かけ、改めて私に話しかけた。
「昨日は、助かった」
「お役に立ててよかったです。野菜粥もお召し上がりになられましたか?」
「……あぁ」
彼は無表情で、短い返事をくれた。
だけど、それでも嬉しい。社長の役に立つ存在でいることが、秘書としての役目なのだから。