毒舌社長は甘い秘密を隠す
「今日、仕事できないかもな」
「そんなに痛むんですか!?」
金曜の夜は、彼の気分を害してしまったせいですぐに帰宅を命じられ、週末は自宅で過ごした。
もしかしたら、その間に悪化してしまっているのかもしれない。
「どう詫びてもらおうか考えるくらいには」
ひらひらと手を動かす彼は、少しも微笑まずに私を見つめる。だけど、彼の長い指には傷跡すら見当たらない。
「お詫びでしたら、謝ることしかできません。それに、これからも社長を全力でお支えしますので」
「あ、そう」
まずは仕事優先。今日の予定に先週からの変更はないと伝え、社長室を出た。
「はぁー……どうしよう」
社長室のドアに背を付けて、私は深く息をついた。