シナリオ・レッスン
タイトル未編集
「我が砦へようこそ。まあ、入れよ」
そううながされて、磨硝子の窓が付いた、いかにも物置き部屋な引戸を入る。
「うわ、狭い。演劇部って大所帯って聞いてたから、もっと広いと思ってたけど」
演劇部の部室が、校舎の北側のいちばん端にあることは知っていた。
こうして来てみると、縦長の間取りの、突きあたりに小さな出窓がひとつ。もう夕方だが、さらに少し薄暗い。
「大道具や衣装の倉庫は、別に有るんだ。ここは歴代の公演の台本や、戯曲集を置いてるだけ。だから、そんなに広くなくてもいいんだ」
「で?仁科先輩、部活のことで私に手伝ってほしい事って?」
「先輩、ね。中学の頃、そんなふうに呼んでたっけ?」
「えっ。先輩だって、私の呼び方、変わりましたよ。前田、って言うじゃないですか」
「……そういえば、そうだな。なんでだろ」
ここで相手のペースに引き込まれてはいけない。
「で?部長。部外者に緊急で、頼みたい仕事とは?」
そううながされて、磨硝子の窓が付いた、いかにも物置き部屋な引戸を入る。
「うわ、狭い。演劇部って大所帯って聞いてたから、もっと広いと思ってたけど」
演劇部の部室が、校舎の北側のいちばん端にあることは知っていた。
こうして来てみると、縦長の間取りの、突きあたりに小さな出窓がひとつ。もう夕方だが、さらに少し薄暗い。
「大道具や衣装の倉庫は、別に有るんだ。ここは歴代の公演の台本や、戯曲集を置いてるだけ。だから、そんなに広くなくてもいいんだ」
「で?仁科先輩、部活のことで私に手伝ってほしい事って?」
「先輩、ね。中学の頃、そんなふうに呼んでたっけ?」
「えっ。先輩だって、私の呼び方、変わりましたよ。前田、って言うじゃないですか」
「……そういえば、そうだな。なんでだろ」
ここで相手のペースに引き込まれてはいけない。
「で?部長。部外者に緊急で、頼みたい仕事とは?」