シナリオ・レッスン
そう……透。透は、言葉を切って私から目をそらす。
「どうして、演劇部に入らなかったんだ?」
と、今の私には残酷な質問が
来た。
透が入学した一昨年と、その前年は演劇部にとっては当たり年だった。本当に芝居が好きで、いずれはプロになりたいという先輩たち、華のある同級生。
時々、街で顔を合わせるたび、透は活き活きとしていくのがわかった。
去年、入学した私は、新入生の部活勧誘会で、演劇部の舞台に打ちのめされた。レベルが違い過ぎる。
エネルギーの量が違う。
とても付いて行けない。迷った末、陸上に入部した。
苦い顔をしているだろう私に、透は続けて言う。
「何でも、陸上部に憧れの君がいる……とか」
そうか、そういうことになっているのだ。
「何なの、それ。スゴイ短絡思考。馬鹿みたい」
ソファから立ち上がろうとする、私の腕を掴んで引き戻す。
「どうして、演劇部に入らなかったんだ?」
と、今の私には残酷な質問が
来た。
透が入学した一昨年と、その前年は演劇部にとっては当たり年だった。本当に芝居が好きで、いずれはプロになりたいという先輩たち、華のある同級生。
時々、街で顔を合わせるたび、透は活き活きとしていくのがわかった。
去年、入学した私は、新入生の部活勧誘会で、演劇部の舞台に打ちのめされた。レベルが違い過ぎる。
エネルギーの量が違う。
とても付いて行けない。迷った末、陸上に入部した。
苦い顔をしているだろう私に、透は続けて言う。
「何でも、陸上部に憧れの君がいる……とか」
そうか、そういうことになっているのだ。
「何なの、それ。スゴイ短絡思考。馬鹿みたい」
ソファから立ち上がろうとする、私の腕を掴んで引き戻す。